08 TTTV4:一口ごとに味を提示する味覚のパーソナルメディア
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08 TTTV4:一口ごとに味を提示する味覚のパーソナルメディア
笠原 暢仁(明治大学), 深池 美玖(明治大学), 宮下 芳明(明治大学)
これまでの著者らの取組みの発展系として,一口毎に味を変えられるデバイスの提案は興味深く,WISSの登壇発表として議論を呼ぶ提案になっていると判断された.一方で,著者ら以外の関連研究がほぼ述べられていないことによる研究の位置づけの不明瞭さ,LLMと本研究の位置づけの不明瞭さ等を中心に,記述に関しては問題を抱えていたため,条件付き採録と判定された.
本稿は「味覚のパーソナルメディア」を実現することを目的とし,カトラリー型味覚提示デバイスTTTV4のハードウェアとソフトウェアを試作した.各個人が使用することで,各個人が求める味を楽しむことができ,味覚コンテンツがパーソナライズされる.TTTV4は単なる小型化の実現だけでなく,対象ユーザを料理を「作る人」から「食べる人」まで拡張した.これに伴い,要求される多様な速度と精度に基づいたハードウェアの議論を行った.また,多様な対象ユーザでも扱えるインタフェースに関する議論を行うため,Direct ManipulationとInterface Agentsに基づく2つのユーザインタフェースを試作した.本稿における考察から,パーソナルメディアを実現するには,ユーザに合わせてインタフェースもパーソナライズすべきであることが示唆された.
論文:
参加者メモ・コメント:
味覚のパーソナルメディア鈴木一平 (BONSAI STUDIO).icon
TTTV、めっちゃ噛みそうになる鈴木一平 (BONSAI STUDIO).icon
これは宮下の責任ですw すみません(宮下)
メディアというものと比べれば、美味しいの大体の傾向が人類で(割と)一致しているのは不思議なのかもしれない。Tatsuya NAGASAWA.icon
洗練されていないメディアが目につかないからかもしれないTatsuya NAGASAWA.icon
電車の椅子あわないとキツイ鈴木一平 (BONSAI STUDIO).icon
複数人でレストランに入って同じメニューを頼んで、「旨い!」って言ってるんだけど、実は味付けは全部違うとか。「ちょっとそれ食べさせて」「何これ全然味ちがうやん」
素材の味が好きなのでファミレスのタブレットメニューにサラダドレッシングなしが浸透してきてうれしい鈴木一平 (BONSAI STUDIO).icon
丁寧なフィロソフィーの説明鈴木一平 (BONSAI STUDIO).icon
どこのレストランにも調味料などが置いてあって好みに味付けできるようになっているので、味覚がパーソナルなメディアというのはもともと共通認識なのではないでしょうか。そこを超えた新しい体験として説明したほうが良いなと思いました𥱋瀨洋平.icon
「体験の共有」と真向対立してるような(それはそれでいいんだけど)くらもといたる.icon
個人の体験を共有する必要なんてないんだよ,という気もする一方で,共有できないと寂しい気もする…
そこ、質問したいポイントです。ソノヤマタカスケ.icon
カスタマイズされているけど共有もされていると感じられるような範囲も存在するのでは?西田健志.icon
↑それがめちゃめちゃ大事な気がするくらもといたる.icon あとこの手のツールを使ってよい/使うべきでないコンテンツ(のジャンル),みたいなのもありそう
各々のスマホの画面の明るさ調整するみたいに味を調整できるみたいな鈴木一平 (BONSAI STUDIO).icon
めっちゃバカな疑問で申し訳ないのですが,重そうだなって思いました.結構片手で扱うのは大変なんですかね??(臼井)
研究用のプロトタイプなんて、まだ重さや大きさを考えなくても良いかなと宮下は思っており、そういった意味で、指導教員として、いったんそれを後回しにして開発とフィロソフィー構築を先行させています。iPhoneのような企業製品レベルのものは、きっと将来ちゃんと出ると考えてよいと思っています。モノとしての完成度はもっと低くてもよいぐらいに思っています。ということで指導教員のせいですw(宮下)
なるほど!ありがとうございます!
プラセボ塩
TTTV4を飲食店に持ち込んで、こだわりの強い店主と喧嘩、的なこともありうるのかなw。店主「俺/私の味を勝手に変えやがって!」みたいなKenta Yamamoto | BONSAI STUDIO.icon
昔はこういう発表してると、「はよーデモ見せろや」みたいな感じだったなぁkentarofukuchi.icon
チャットにデモ!デモ!って書き込まれるパターンmatsumur.icon
デモまだ?コール、懐かしいです♪ソノヤマタカスケ.icon
そもそも、そういうコール自体がいまのご時世でアウトかもしれないと思っちゃいますが、それだけでなく、提案するのがモノ自体でなくその先のビジョンである場合、デモ中心である必要もないと思います。(「昔」の話を書いてみると、たとえば渡邊先生のsmoonに付いての登壇発表も、あのデバイスの提案が主題ではなかったですよね) (宮下)
一口ずつ味が異なるということは、「パーソナルメディア」を越えた概念を提唱しているように思えるので、現状のコンセプトは勿体ない気がします。体調によって、前のお皿が何かによって味を調えられる(プロはそれをやっている人もいる)ということが目指している姿なのかなと思いますdrinami.icon
たしかに、お客さんの様子を見て味を調節するみたいなプロの料理人のエピソードも聞きますねyuiseki.icon
出たていのデモがあってえらい narumi.icon
これはdirect manipulationなの?(あまり本質的でないコメント) narumi.icon
フィードバックが連続的ではないので違うのですが,わかりやすいかと思ってアドリブで使ってしまいました.笠原暢仁.icon
Unityですね!unity.icon
本人が「同じ味」だと思っていても、体調その他で味の感じ方は違うので、単に味付けパラメータの学習するだけでは足りないのでは?(満腹度、血糖値、時間、etc 等の反映も必要?)
味覚をメディアと捉えられるのが面白いですねtakahiro.hara.icon
これをパーソナルメディアというのであれば、Photoshop の色選択UIもパーソナルメディア?kentarofukuchi.icon
調味デバイス、という説明をするとき、胡椒とか既存の諸々の調味料(特に卓上調味料)と対比があるとわかりやすいかも?Kenta Yamamoto | BONSAI STUDIO.icon
食事・料理におけるどのフェーズで調整するのか? どれくらい調整可能な領域があるのか?
対象領域の話が設計思想の話と共に欲しいかもしれないです
「なぜ料理自体を調整ではなく、調味料のポジション(特にこれは「食べる時」の調整なので)なのか」ということが気になったりもしたので
食感の変化も欲しいです(シャキシャキが苦手)
気が付くと全ての食べ物が同じ味になるように調整されてしまっているというディストピアを幻視してしまったくらもといたる.icon
おのれコンピュータめ,俺が好きだからっていつもいつもキャラメル味にする必要はないやろ!みたいな
記録することを学習と言っているのか、なんかデータを大量に集めて学習しているのかがよくわからないです。すっぱいのが好きと過学習して何でもかんでも酸っぱくしてくれたりもあり得る?伊藤正彦.icon
LLMの出力に対する個人のフィードバックを記録収集したものをもとに次からの出力を調整して
確かに仰る通り個々人の味の感じ方を考慮して何でもかんでも酸っぱくしてしまう可能性もあり得ます、これは今後の実装の構成次第にはなってしまいますが食品ごとに区切って味の傾向を学習させることで回避できるのではないかと考えております(深池)
@宮下先生:味を「抜く」ことは可能ですか?
できます!今回は5タンクですが、よりタンクが多い他のバージョンだと中和剤によって酸味抑制など、味の減算も実現しています!(宮下)
→「全く何の味もしない」レベルにできる?(蒸留水を飲んでるような)、これができれば、元の味が何であれ、一旦null化処理をしてからゼロから味を作り出せるのでは?
溶液混合だとなかなか難しいですが、たとえば電気味覚も併用して、人体をプラスにすれば水素イオンが受容体につきにくくなってほぼ無味みたいにできます。ハムスターによる実験でも神経刺激レベルでゼロにできてるので。(宮下)
味覚障害のシミュレーションができれば面白そう
たしかにそうですね よい提案をありがとうございますm(_ _)m (宮下)
味覚障害にもいろいろあって、完全にゼロでない障害もあると思うのですが、それらについては希釈という減算手法によってある程度可能かもしれないと思います。少しやってみようと思います(宮下)
質疑 matsumur.icon みんな書いてね
0.12 mLごとという区切りはハードの問題でしょうか、味の弁別閾値によって決定したものでしょうか?Tatsuya NAGASAWA.icon
ハードウェアの問題です(深池)
いちごみたいにデータベースを当たればすぐわかる事例はLLMに任せる必要はなさそう(自然言語処理ができればなんでもよい)ですが、「神保町次郎の感じの味付け」みたいな複合的な指定も将来的には可能になりますか?narumi.icon
現状の実装でもLLMによるそれっぽい基本五味のパラメータを出力することが恐らく可能です、ビジョンを含めて考えると「神保町次郎の感じの味付け」として出されたものを味わった後に自分でパラメータを調節すると、TTTV4側が「ユーザの思う神保町次郎の感じの味付け」を学習してくれるのでそうした形で味を近づけていけるかと思われます!(質問の認識に齟齬がありましたら申し訳ありません)(深池)
味という概念を言語のレベルに抽象化するというコンセプトは面白いですが、言語のレベルに抽象化してしまうと、それ自体がある種の大衆化になるのではないでしょうか? ワード→基本5味の組み合わせのプリセット という対応関係がどうしても出てきてしまいそうなので。 (鈴木)
確かにそうかもしれません.一方で,その人にとっての言語表現と味の対応関係を学習していくことができれば,人によってのワードの意味が変わるのでそういう意味ではパーソナルかなと思っております笠原暢仁.icon
論文に記載された「5 つの味溶液」というのがよくわからなくて,説明していただけますと助かります(臼井)
甘味,塩味,うま味,酸味,苦味という人間が味蕾によって感じる基本五味の各味に対応する純物質です笠原暢仁.icon
甘味であればスクロース,塩味であれば塩化ナトリウム,うま味であればグルタミン酸ナトリウムなどがあります.笠原暢仁.icon
元の味にもどるのかな?つまり、一回味を変えたことで、次の味が影響を受ける気がしますmatsumur.icon
確かにその通りです.そのため表示をその人の感覚量に落とし込むみたいな学習も必要かもしれません.笠原暢仁.icon
Aさんにとっての「激辛」とBさんにとっての「激辛」をそれぞれに提供することで、辛さは全然違うのに双方の評価が「激辛」になる、みたいなことができるかもしれませんね。
できるはずですっ!笠原暢仁.icon